オリエンテーリングは与えられたコースを回ってくるだけでは速くなれません。自分がコースセッターになってコースを創る(図上だけでなく実際に設置する)ことが必要です。
一つにはコースを組める人が増えることにより練習機会を増やせます。そしてなによりもオリエンテーリングの技術力を磨く練習になります。具体的にはプランニングとナビゲーションです。
今回はコースを考え、設置し、走る、という練習をおこないました。さらにコース設定をサポートし地図を印刷するソフトウェアの説明も併せておこないました。
具体的には以下の内容です。
オリエンテーリングでもっとも一般的なソフトウェアOCADの説明をしました。 OCADでは"新規作成"すると、地図を作成するか?コース図を描くか?を尋ねられます。コース図作成を選ぶとメニュー及びアイコンがコース作成に特化した設定になります。作業は大まかに以下の流れです。
今回は経験も考慮して2グループに分け、グループ毎にコース案を作成してもらいました。コース距離・レイアウトの目安として1.5kmのコース原案を各自に配布しました。
コントロールを設置する時は、周辺の特徴物との相対関係がいちばん重要です。
ランナーはコントロールだけを目指して走るのではなく、周辺の特徴物を見つけてそこからコントロールを狙います(アタックポイント)。想定できる全てのアタックポイントとの相対関係を実際に歩いて確認しましょう。歩測&コンパス直進の良い練習にもなります。
地図上でコース案を作成しても、現地に行くと「ここには置けないな!」となることがあります。"地図に無い道/オープンがある"から"ここで正しいか自信がない"まで程度は様々ですが、根本の原因は『地図の表現が現地と合致していない』です。
自分のテクニックの限界を超えた位置(要は行けそうもない所)にコントロールを設定しませんから「ここで正しいか自信がない」ということは、あなたのナビゲーション能力が警報を発している訳です。「まぁ、いいや」と気付かないフリをして済まさずに解決を試みましょう。
正攻法の対応としては、コントロールはそのままで地図を修正することになります。
"地図の修正"といっても大仰に考えて尻込みする必要はありません。地図ファイルのコピーを保存しておけばやり直しはいくらでも出来ます。修正は上空から見下ろした正確な形よりも、ランナーの目線で見た景色を優先させましょう。「この沢はもう少し大きい」、「ヤブがこの辺まで広がっている」といった感じです。
ソフトウェアが無いため地図を修正できない、点状特徴物が消えてしまった等でコントロール位置を修正せざるをえない場合もあります。
コース案作成の段階でボツにした第2案・第3案があるならば、それを使えないか検討しましょう。代替案だと大きく位置が変わってルートの選択肢が無くなってしまうので、位置をあまり変えたくない時もあります。その場合は、より大きくてハッキリとした線状特徴物(道/尾根/沢)を選びましょう。
コース設定終了後にOCADでコース図を作成し、印刷・配布しました。
今回作成してもらったコースは以下のとおりです。一箇所、同じ位置だったので急遽変更したようです。
他チームのコース、自チームのコースの順で走ってもらいました。
パンチ台は使わず、タイム計測はしていません。
最後にオリエンテーリングのコース図作成専用のオープンソースソフトウェア"Purple Pen"を紹介しました。当日紹介したのはVer. 2.3.2でしたが、ここから最新版をダウンロード出来ます。
このソフトはOCADコース設定機能と同等の作業が出来ます。ヘルプマニュアルが日本語化されており、操作手順は判りやすいです。
下絵地図はOCAD形式(Ver. 8~11)の地図データを読み込みます。
実際に体験してもらうために、下絵地図として"美々牧野"と"南千歳"のOCADファイルを置きますので試してみて下さい。