練習会 2014 第4回報告

日時:
2014年8月2日(土) 10:30〜14:30
テレイン:
美々牧野 (千歳市美々)
コースセッター:
宮川
参加者:
山崎、岡本(将志)、昆野、白石、岸、小原、林、西方、佐々木、岡本(仁志)、柏木、戸田、細井 (敬称略)
メニュー:
コンパス直進・歩測

(1) コースについて

1.9kmと2.3kmの2本のコースを用意しました。コース図は以下です。
別コースのコントロール位置には救護所マークの十字(+)を付けて明示しました。

コントロールの先には主要道路・池などを配置し、大きなオーバーランが無いようにしてあります。迂回した方が速そうなレッグも有りますが、『練習』のため、あえて全て直進するようにお願いしました。
e-Cardによるタイム計測はおこなわず、「失敗したな!」と思った場合は前に戻ってやり直すこともOKとしました。

(2) コンパス直進と歩測はセット

コンパスで直進する時は、必ず歩測も併用するものと思って下さい。
目標に対して"左右はコンパス、前後は歩測"です。

ただし歩数の計算は大幅に簡略化します。
100mあたりの歩数は、男性ならば40歩(1:10,000縮尺で40歩/cm・1:15,000で60歩/cm)、女性ならば50歩、疲れて歩いている時は60歩、と決め打ちで計算します。
そして距離の読み取りは5mm単位で読みます。
アタックポイントからコントロールまで1.5cmで、男性の場合は
40歩×1.5cm=60歩
と計算します。

全力で走りながら38歩×1.7cmなんて二桁の暗算は絶対にできません。
現実的には「40歩×2cm=80歩よりちょっと少ないから70歩くらい?」とします。

ところで計算が簡単になるのはいいけど、「これだけ大雑把に決めて大丈夫か?」と思うでしょう。
『大丈夫です! 目標に着く前に歩測がカウントアップします』
上に挙げた100mを男性:40歩/女性:50歩/歩いて:60歩、というのは舗装路やグラウンドを走った時の代表値です。テレインの不整地では必ず余分に歩数がかさみます。
オンロードに近い公園テレインで余力のある前半ならばかなり「ジャスト」に近くなります。
必ずショートする歩数計算にしておけば、歩測がカウントアップするまでは走ることに専念でき、疑心暗鬼によるスピードダウンを防げます。

(3) 方向維持

遮る物の無い広いグランドならば、コンパスを見つめながら走っても平気です。でも木の生えている不整地でそんなことは出来ません。
実際は『整置したコンパスプレートの延長線上に目標物を見つける。そこまでコンパスを見ずに走り、近づいたら次の目標物を見つける。』を繰り返しながら進みます。
立木やヤブを回り込んだ拍子に目標物を見失うことはよくあります。そんな時はすぐにコンパスを見て新たな目標物を決めます。

コンパスと目標物を同時に視界に入れられるように、コンパスはできるだけ前方に構えたほうがいいです。一方で磁石の針とリングマークが重なっているかを確認するためには上から見下ろす必要があります。結局、ベルトライン位の高さで肘が軽く曲がるくらいに伸ばして前方にコンパスを構えます。

普通に腕を振りながら走っていて、目標物に近づいたら腕を伸ばしてコンパスを構え、手首の感覚でプレートを進行方向に合わせます。針が落ち着くまで一呼吸くらい待ってから視線を下げてコンパスを見て針とリングマークが重なっているのを確認し(ズレていたら進行方向を修正)、視線を前方に戻して次の目標物を決める。視線を下げているのは一瞬、一歩か二歩くらい、で充分です。このやり方ならば、ほとんどスピードを落とさずに方向を維持できます。

方向を維持しながら、歩数を数えて、さらに地図まで読むのは出来ない相談です。だから歩数がカウントアップするまでは地図を見ない!
その代わり、きちんとヘッドアップして周りの地形・植生をしっかり記憶します。
キョロキョロし過ぎて目標物を見失ったら、すかさずコンパスを見て新たな目標物を決めます。
途中で気になるモノを見ても地図と照合しない! 地図を見ないで頭の中の短期記憶に留めます。そしてトラブルが無ければ忘れてしまいます。もし、あるはずのコントロールが無い・現在位置が判らなくなる等のトラブルに見舞われたら、記憶に留めたモノを地図と照合してリカバーの助けにします。

歩測がカウントアップしたら、いちど停まってコントロール周りの地図を再確認(ついでにコントロール番号と位置説明も)。そして慎重に進みながら周囲を最大限に見回してコントロールを探します。
コントロールは最終的には目視で見つけるものです。

(4) 歩測の練習

実用的な観点からすると、距離300m(歩数にして120〜180歩、時間にして2〜3分)の直進を自信を持ってこなせれば国内のテレインで困ることはありません。
とは言っても頭で理解してもダメで、練習して身に付けなければ使いこなせないのがスポーツというものです。

コンパス直進&歩測で一番ありがちな失敗が「何歩まで数えたか分からなくなった」です。
これはランニング中に歩測することで慣れることができます。インターネット地図で普段のランニングルートの距離を測り、ある程度の区間毎に歩数をリセットしながら歩測します。
北大生がよく走るコースだと、体育館から13条門まで500m、13条門からクラーク像まで500m、中央ローン一周りで700m
慣れてくると、考え事をしたり・(頭の中で)鼻歌を歌いながら裏で歩数をカウント出来るようになります。

私の場合、100歩と200歩を勘違いすることはないので、数えるのは100歩単位にしています。ただし「98、99、100、1、2、3・・・」と一桁に戻るのはリズムが悪いので、「99、100、101、102、・・・、109、110、11、12、13・・・」としています。まあ、試してみて下さい。

(5) 道走りへの応用

前節の練習をしていると、道走りや尾根/沢沿いなどのイージーな区間でも無意識に歩測するようになります。せっかくなので道の分岐などの明確な地点からの歩数を数えておきましょう。何かトラブルがあった時、「自分はあの分岐から何mの地点に居るはず。(地図と現在地が合わないならば、分岐が思った所では無いか/方向を間違えたか)」となり、現在位置を見つけ直すリロケートの助けになります。トラブルが無ければ、新たな確定点からまた歩測を始めます。
"保険としての歩測"です。


初版:2014年8月6日 最終更新:2014年8月6日