練習会 2012 第3回報告

日時:
2012年6月3日(日) 12:00〜14:30
テレイン:
札幌農学校2010 (札幌市北区)   [縮尺 1:10,000, 等高線間隔 2m]
コースセッター:
宮川
参加者:
岡本、坂牧、小山、國本、岸、白石、高橋、小原 (敬称略)
メニュー:
ペース指定によるオリエンテーリング

オリエンテーリングは時間を競う競技ですが、地図を読みながら走るという特性上、常に体力の許す限りのスピードで走るわけにはいきません。地図を読みチェックポイントを確認する場面、コントロールを捜す場面では体力に余裕があっても意図的にスピードを押さえなければなりません。容易な区間の勢いでスピードをコントロールせずに走っていると簡単にオーバーランして現在地を見失ってしまいます。また一度スピードを落としても容易な区間に戻ったら即座にペースを上げなければタイムを削れません。
オリエンテーリングはタイムレースの中でもペースの変動幅が非常に大きな競技と思います。
今回の練習会は道走りのスピードコントロール練習として、ペース指定によるオリエンテーリングをおこないました。

コース図を以下に示します。
通常のコース図に走行ルートを示すラインを重ね、ラインの色でペースを指定しました。
今回は青線を6分/km、黄色を7分/km、赤線を8分/kmに指定しました。

ペース通りに走ると26分36秒となります。ルート距離4.1kmに対して平均6分26秒/km、直線距離に対して8分/km弱となります。
起伏の無いテレインのスプリントコースであれば中位程度の成績になるペース設定です。
今回は参加者の半数が初心者だったので難易度は易しく、体力的負荷も軽くなるよう配慮しました。
このコースで優勝を狙うならば時間にして20分、ルート距離に対して平均4分50秒/km、直線距離に対して6分/km弱くらいが目標になるでしょう。
コース図

実施方法

  1. 500mの区間を設定し、全員で指定スピード(5分/km〜8分/km)でペース走  [500m×6本]
  2. 全員でコース図の指定ペースに従って走る  (集団走行)
  3. 指定ペースでのラップタイムと1回目の実際のラップの差異を確認
  4. 2回目は1分間隔で個別に走る

結果

ラップタイムをスピード(1km当たりの時間)に換算した結果を以下に示します。 (直線距離ではなく、ルート距離で計算)
指定ペース毎に色を付けてあります。
レッグ毎のスピード

また指定ペースとの比率に換算した表とグラフを以下に示します。
グラフの横軸はルート距離です。
指定ペースの±10%に収まった区間を緑色の枠で囲んであります。 指定スピードとの比較 指定スピードとの比較グラフ
上のグラフで分かるように全員がだいたい指定よりも速いペースで走っています。
これは1回目に全員で走ってルートを覚えていたので地図読みの負担が軽かったためでしょう。
しかしこの練習ではスピードコントロールに集中して欲しいので、ルートの事前確認は必要でしょう。
ただ青を5分/km、黄6分30秒/km、赤8分/kmなどもっとペース変化を大きくしたほうが良かったようです。(合計タイム:23分23秒)

交通信号方式

オリエンテーリングのスピードコントロールに関して交通信号方式という考え方があります。
道路の信号では無く、鉄道の信号をイメージすると分かりやすいです。

青信号区間
主要道路・林道・はっきりした山道・枝分かれの無い尾根・沢
地図を見ずに記憶だけで走ってもルートを外すことの無い安全な区間です。
この区間ですることは次のどちらか
  1. 全力で走りタイムを縮める  (地図を見ない)
  2. 地図を読みながら走り、次の次(あるいはそれ以上先)のレッグのルートを決め・交通信号の色を設定する
黄信号区間
道・尾根・沢の分岐手前、細いはっきりしない道、簡単なコントロール直近
分岐など走る方向が大きく変わるポイントを見逃すと大きなタイムロスになります。たどるのが難しい細い道もあります。
赤信号区間
コントロール直近
コントロールの直近では地図と目の前の景色を交互に見ます。必然的にスピードは落ちます。

交通信号方式 今回の練習では簡単化のためにレッグ毎に青/黄/赤のペース指定をしました。もちろん実際にレースで交通信号方式を使うときはもっと細かい区間に分けます。
例えば今回のコースの2→3の場合

  1. (青信号)  2番は舗装道路の交点なので、1番からスピードを落とさずアタック
  2. (青信号)  2番から南へ脱出。「舗装道路が尽きるまで」と覚えて走る。南から南東に曲がる時も地図を見ない!
  3. (黄信号)  東へ曲がったら、地図を確認。コントロールNo./位置説明をチェック。そして奥の建物手前を南に入る道を探す
  4. (赤信号)  細かく曲がるルートを確認しつつ、パンチ後の脱出方向を読む。前方に位置説明に適合した地形が見えないかを捜す。
    赤信号区間では地図と前方を交互に見るので忙しい。視線の移動速度で赤信号区間のスピードが決まると言っても良い!
  5. (青信号)  3番をパンチしたら止まらずに南へ走る。地図を持ち替えながら青信号区間がどこまで続くか確認

大事なことは、交通信号方式は事前のプランであって現地へに着いてからのリアクションでは無い!ということです。
信号の色は地図から読み取れる情報で先に決めてしまい、そのプランに従ってスピードをコントロールしていきます。目に見える景色・地形から判断して走るスピードを決めるのでは後手に回ってしまい、どうしても対応が送れ破綻してしまいます。


初版:2012年6月9日 最終更新:2012年6月10日