オリエンテーリングは時間を競う競技ですが、地図を読みながら走るという特性上、常に体力の許す限りのスピードで走るわけにはいきません。地図を読みチェックポイントを確認する場面、コントロールを捜す場面では体力に余裕があっても意図的にスピードを押さえなければなりません。容易な区間の勢いでスピードをコントロールせずに走っていると簡単にオーバーランして現在地を見失ってしまいます。また一度スピードを落としても容易な区間に戻ったら即座にペースを上げなければタイムを削れません。
オリエンテーリングはタイムレースの中でもペースの変動幅が非常に大きな競技と思います。
今回の練習会は道走りのスピードコントロール練習として、ペース指定によるオリエンテーリングをおこないました。
コース図を以下に示します。
通常のコース図に走行ルートを示すラインを重ね、ラインの色でペースを指定しました。
今回は青線を6分/km、黄色を7分/km、赤線を8分/kmに指定しました。
ペース通りに走ると26分36秒となります。ルート距離4.1kmに対して平均6分26秒/km、直線距離に対して8分/km弱となります。
起伏の無いテレインのスプリントコースであれば中位程度の成績になるペース設定です。
今回は参加者の半数が初心者だったので難易度は易しく、体力的負荷も軽くなるよう配慮しました。
このコースで優勝を狙うならば時間にして20分、ルート距離に対して平均4分50秒/km、直線距離に対して6分/km弱くらいが目標になるでしょう。
ラップタイムをスピード(1km当たりの時間)に換算した結果を以下に示します。 (直線距離ではなく、ルート距離で計算)
指定ペース毎に色を付けてあります。
また指定ペースとの比率に換算した表とグラフを以下に示します。
グラフの横軸はルート距離です。
指定ペースの±10%に収まった区間を緑色の枠で囲んであります。
上のグラフで分かるように全員がだいたい指定よりも速いペースで走っています。
これは1回目に全員で走ってルートを覚えていたので地図読みの負担が軽かったためでしょう。
しかしこの練習ではスピードコントロールに集中して欲しいので、ルートの事前確認は必要でしょう。
ただ青を5分/km、黄6分30秒/km、赤8分/kmなどもっとペース変化を大きくしたほうが良かったようです。(合計タイム:23分23秒)
オリエンテーリングのスピードコントロールに関して交通信号方式という考え方があります。
道路の信号では無く、鉄道の信号をイメージすると分かりやすいです。
今回の練習では簡単化のためにレッグ毎に青/黄/赤のペース指定をしました。もちろん実際にレースで交通信号方式を使うときはもっと細かい区間に分けます。
例えば今回のコースの2→3の場合
大事なことは、交通信号方式は事前のプランであって現地へに着いてからのリアクションでは無い!ということです。
信号の色は地図から読み取れる情報で先に決めてしまい、そのプランに従ってスピードをコントロールしていきます。目に見える景色・地形から判断して走るスピードを決めるのでは後手に回ってしまい、どうしても対応が送れ破綻してしまいます。