OpenOrienteering MapperのGIS設定

目的

OpenOrienteering Mapper(OOMapper)で「国土地理院レーザ測量データの利用」や「GPSログの取込み」をおこなう場合に必要となるGIS関連の設定をまとめました。

サンプル地図

以下はOpenOrienteering Mapperで全てを作図したサンプル地図です。ISSOM2007規格で、縮尺1/4,000・等高線間隔1mとしています。 キウス周堤墓群

地図データ(kiusu.omap)は以下のリンクからzipファイルとしてダウンロードできます。ロゴ、GPSログのファイルも同梱していますので同じフォルダに解凍してください。
kiusu.zip
改編・再配布が自由なCC-BY-SAライセンスとしています。

OpenOrienteering Mapperは以下からダウンロードできます。
OOMapper Webサイト

OOMapperのGIS設定

国土地理院のWebページを参照して平面直角座標系の設定をおこないます。これは球面の地球表面を平面の地図に投影するための基準設定です。 "マップ ジオリファレンシング"ダイアログボックス

メインメニューの地図(M) → ジオリファレンシング…で表示される"マップ ジオリファレンシング"ダイアログボックスに値を入力して設定します。値は国土地理院のWebページで計算できます。

地図の座標参照系

  1. 座標参照系(C): で"by EPSG code"を選択
  2. 上記選択によりEPSG code:欄が現れるので、国土地理院の設定した日本の平面直角座標系に対応するEPSGコードを入力します

    コード番号は以下で検索できます。
    spatial reference list

    例えば北海道中央部の場合はXII系ですので、"Japan Plane Rectangular CS XII"のEPSG:2454になります。

  3. OOMapperが情報を持っているコード番号が入力されると状態:欄に"有効"とのメッセージが表示されます。(EPSGに登録されている"有効"な番号、というだけで所望の座標系とは限りません)

参照点

前項で設定した平面直角座標毎に原点が定められており(XII系だと旭川市の北、幌加内町と和寒町の境界付近の山の中)、この原点からテレイン範囲内の一点までの距離を設定します。(地図付近であれば何処でも支障は無いです)

国土地理院の測量計算サイトで平面直角座標への換算を実行して求めます。
求めた値をEPSG ???? coordinates:欄に入力します。
値を入力する際には、X座標が南北・Y座標が東西になっていることに注意して下さい。基準点を表示:欄のオープンストリートマップへのリンクをクリックして、設定した地点が表示されるかを確認すると良いでしょう。(設定とかけ離れた場所が表示される場合は、たいていX座標・Y座標の入力を逆にしています)

地図上の北の向き

国土地理院の地磁気測量ページ中段の"地磁気値を計算する (偏角,伏角,全磁力,水平分力,鉛直分力)"で磁北偏角を求めます。

航空レーザ測量データの取込み

調査原図は国土地理院基盤地図情報のデータをダウンロードし、dxfファイルに変換してOOMapperに取り込んでいます。
キウス周堤墓群 調査原図 作図時点で、このエリアは航空レーザ測量データの境界付近となっており、東側は10m数値標高モデルから等高線を作成しています。図の緑色ラインが10m標高モデル[1m間隔]、茶色・赤色が5m数値標高モデル(航空レーザ測量)[0.5m間隔]です。 描画精度の違いが一目瞭然ではないかと思います。

基盤地図情報のdxfファイルへの変換、特に5m数値標高モデル(航空レーザ測量)から等高線を生成しdxfファイルに変換するソフトウェアはいくつかありますが、今回はフリーソフトの"VectorMapMaker"を使用しています。
VectorMapMaker Webページ

VectorMapMakerを使う場合の注意点とコツ

先頭コメント行の削除

dxfファイルの中身VectorMapMakerでdxf変換するとデータの先頭にソフト名/作者名を記した(グループ コード 999の)コメント行が記載されます。OOMapperは何故かこのコメント行があるとエラーを出してインポートしてくれません。
このため手動で先頭の4行を削除します。(dxfファイルの中身は文字と数字で書かれたテキストです)

        > 999
        > VectorMapMaker 7.2
        > 999
        > Programed Morita Shinji

ゴミデータの除去

図枠・Northマーク・距離スケール

Northマーク・距離スケールインポート時にdxfファイル内の不要な情報は読み飛ばしてくれるのですが、図枠・Northマーク・距離スケールの3つだけは表示されてしまいます。調査原図には不要(というか邪魔)なゴミデータなので、インポートしたらすぐに削除しましょう。 Northマーク・距離スケールは図枠と離れた部分にあったりするので要注意です。

偽のピーク

短い等高線を除くオプションVectorMapMakerによる等高線生成の際に計算誤差による小さなピークが現れます(平坦な地形で顕著です)。調査の際に確認して消去しても良いのですが、面倒ならばVectorMapMakerの等高線生成時にポイント数の少ない等高線をあらかじめ除くオプションがあります(短い線の省略 "8節未満省略"など)。テレインの状況に合わせて調整して下さい。

基盤地図情報データのダブリ

数値標高モデル:ダウンロードデータ選択画面国土地理院のサイトから5m数値標高モデルのデータをダウンロードする際に、"基本項目"と"数値標高モデル"を(ログアウトせずに)続けて操作すると2回目にダウンロードする時に1回目の項目が残っていることがあります。この時に気が付かずに全てをダウンロードすると、データがダブってしまいます。これをVectorMapMakerのデータフォルダに移して展開すると、"基本項目"のデータと"標高モデル"のデータがダブリ、道路などが二重に描かれます(あるいは等高線が二重に描かれる)。線を修正・削除すると下からもう一本線が現れることになるので気を付けましょう。

インポートするデータ

インポートするデータ基盤地図情報で利用できるデータは等高線・水涯線・建物L・道路縁・(スプリント用地図の場合)歩道・分離帯になります。
残念ながら畑・オープンなどを示す植生データはありませんので別途調査することになります。

線種毎にインポート操作

新規に色定義OOMapperにはレイヤー情報を用いてインポートしたデータを選択する機能が無いので、VectorMapMakerで線種毎にdxfファイルを生成し、複数回インポートを繰返します。

インポートの手順は以下です。

  1. メインメニューのファイル(F) → インポート… → dxfファイル選択
  2. "座標参照系を選択"ダイアログボックスで"Same as map"を選択 → 未定義の図形が選択された状態で現れる
  3. 記号ウィンドウの所望のアイコンを右クリックし"選択中のオブジェクトの記号を置換"をクリック
  4. 図枠・Northマーク・距離スケールを削除
  5. 記号アイコンを右クリックし"この記号のオブジェクトを保護"を選択

折れ線から曲線への変換

VectorMapMakerでdxf変換したデータは直線を繋いだ多角形になっています。これを曲線に変換するコマンドがあります。後の修正を考えると、少なくとも等高線は変換しておくべきです。(建物は変換してはいけません)

  1. 所望のアイコンを右クリックし"この記号オブジェクトをすべて選択する"
  2. ツール(T)→"曲線に変換"(もしくは上部ツールバーのアイコン)をクリック

大量のデータを選択した場合、PCの能力によっては変換にしばらく時間が掛かります。

オーバープリント対応

地図で使われる線および面の色を半透明化してオフセット印刷と同等の重ね合わせ効果を設定します。

GPSログ取込み

GPSのログはgpx形式のファイルに変換し、テンプレート(下絵)としてOOMapperに取り込みます。

キウス周堤墓群 GPSトラック調査の過程で取得したGPSのトラック(軌跡)とウェイポイント(固定点)を以下に示します。トラックは紫色の線として表示され、ウェイポイントは紫色ドットと名前で示されます。
残念ながら、トラックの線の色・太さ、ウェイポイントのフォントなどは変更できません。

ハンディGPSのログを取り込む場合は「カシミール3D」が定番でお薦めです。
カシミール3D Webページ
ウェイポイントとトラックログを別のgpxファイルとして出力します。 詳細はカシミール3D マニュアルを見て覚えて下さい。

OOMapperへの取り込み手順は以下です。

  1. メインメニューのテンプレート(T) → テンプレートを開く… → gpxファイルを選択
  2. ダイアログボックスで"ジオリファレンス済み"を選択 → 編集できない下絵として表示される

テンプレートウィンドウテンプレートとして表示したGPSログは、テンプレートウィンドウで操作できます。(メインメニューのテンプレート(T) → テンプレートウィンドウ)


初版:2016年3月13日 最終更新:2016年3月13日